この章の内容は次のとおりです。
多面的な編集と分析により、ビジネスに応じた任意の集計を使用してプラン・データを柔軟に評価できます。
次の方法から1つ以上選んでプラン分析を行うことができます。
任意のレベルにおけるデータの表示と加工
集計データの表示
集計解除データの更新
カスタマイズ可能なデータ集計解除
ドリルとドリル先
要約の表示
表およびグラフに表示されるデータのフィルタリング、および自動的にデータ・ストレージ・レベルに集計解除されるデータの調整を行うことができます。変更内容を保存すると、その変更内容はそのプランを使用する他のユーザーすべてがリアルタイムで利用できるようになり、ユーザーそれぞれのロールに応じた最も有効なレベルでデータの表示と加工ができるようになります。
集計データを表やグラフで表示する機能、あるいはインライン・ドリルや「ドリル先」機能を利用することで、よりニーズに適合したデータの検索や分析ができます。たとえば、時間ディメンションでは、階層を使用してデータを日から週、期間、四半期または年へと集計することも可能です。表のデータを、表の定義時に選択したディメンション階層の集計レベルで表示できます。データは、その表で表示できるレベルに自動的に集計されます。
表では、編集可能なメジャーを任意のレベルで更新できます。変更内容が保存されると、集計レベルでの編集内容が、下位レベルへと配賦されます。下位レベルでの編集内容は、上位レベルへと集計されます。
プランでは、カスタマイズ可能なメジャー定義の中で、データの集計および集計解除の方法を指定できます。
集計解除メソドロジは、集計解除パラメータで制御されます。編集可能なメジャーの「集計解除パラメータ」を更新するには、「需要管理」作業領域の「プランニング・メジャーの管理」ページへ移動します。
修正したデータを配賦および保持する4つの異なる方法を次に示します。
メジャー基準: 値は、指定したメジャーに対して、基礎となるメンバーの重みに応じて、基礎となるメンバー間で分配されます。
自己基準: 値は、同じメジャーの現在の値を用いて、基礎となるメンバー間で分配されます。
均等: 値は、基礎となるメンバー間で均等に分配されます。
同一値: 入力した値が、基礎となるすべてのメンバーに割り当てられます。
メジャー内ディメンション・メンバーの各組合せに対する重みは、プランの実行中にメジャーに対して計算され、保存されます。その重みが、データの分配に使用されます。たとえば、P1-Org1とP2-Org1の予測が、それぞれ40と60だとします。この場合、分配に使用される重みは、P1-Org1に対して40%、P2-Org1に対して60%です。
選択した集計解除方法によって、更新された内容の配賦と保存の方法が変わります。集計方法と集計解除方法の両方を合わせてレビューすることで、両者が同期した状態になるようにすることをお薦めします。
トリルによって、表およびグラフ内で、選択範囲を展開したり折りたたんだりすることが可能です。これにより、集計表示と詳細表示の両方にアクセスできます。また、グラフ上でドリルを使用して、上位のレベルから下位のレベルへドリルダウンすることもできます。グラフを作成すると、ディメンションの階層で複数のレベルが選択された状態になり、「レイアウト」タブでドリル・オプションを使用できるようになります。グラフを表示すると、最初にほとんどの集計レベルが表示されます。レベルをクリックして他のレベルへドリルすることで、さらに詳しい情報を表示することができます。
表またはグラフから、リンされた表やグラフに移動するには、「ドリル先」機能を使用します。リンクされた表またはグラフに移動する際は、移動元の表またはグラフのコンテキストがフィルタとして使用されます。1つのオブジェクトから他のオブジェクトへのドリルは、「リンクの管理」メニューで構成します。ドリルをグラフ同士、表とグラフ間、表同士で行って、データを表示できます。
要約を使用して、表の全レベルに対する要約情報を表示します。「表」ツールバーの「表示」メニューで、「要約の構成」処理を選択して、要約を構成できます。特定のレベルまたは表で選択したすべてのレベルに対して、要約行を有効または無効にできます。表内でのレベルの位置によって、要約が行に表示されることもあれば列に表示されることもあります。
「メジャー」に対して定義されたその他のディメンション集計パラメータを使用することで、要約が計算されます。表の要約に対するメジャーの集計では、メジャーに対して「プランニング・メジャーの管理」ページで選択した集計パラメータが使用されます。
メジャーの作成時に、「合計」、「平均」、「最大」、「最小」、「加重平均」、「件数」、「最新」、「差異」または「標準偏差」を集計関数として使用できます。
予測精度を計測してプラン全体のパフォーマンスを分析します。予測精度の計測には、平均絶対誤差率(MAPE)、平均絶対偏差(MAD)、および予測偏向を使用できます。
MAPEは、実際の値(実際の出荷量)と統計予測との差をパーセントで表した計測値です。MAPEの値が高いほど、差が大きく、予測エラーの程度が大きいことを示します。MAPEの計算は、予測エラーを分析する上で中心となるもので、統計的予測メジャー、ロードされた予測メジャーおよび手作業で入力された予測メジャーを対象として適用できます。
MAPEが表示される事前定義済メジャーは次のとおりです。
最終記帳予測3か月MAPE
最終出荷予測3か月MAPE
偏向はMAPEを補完する指標で、需要が予測より概して高いのか、あるいは低いのかを表します。偏向関数では、2つのメジャーの差がパーセントで計算されます。偏向の値が正の場合は、需要が予測を上回っています。偏向の値が負の場合は、需要が予測を下回っています。
偏向が表示される事前定義済メジャーは次のとおりです。
最終記帳予測3か月BIAS
最終出荷予測3か月BIAS
MAD関数では、2つのメジャーの差が絶対値で計算されます。MAPEがパーセント値であるのと異なり、MADは単位のある値であるため、MADの方が、企業全体での使用が難しい可能性があります。この値は、予測と需要が異なる部分を評価するのに有効です。MADの値は、単位付きで計算されるため、精度を直接表すものではありません。1日に1000単位が販売される製品であれば、MADが100であっても正確といえることがある一方で、1日に平均10単位が販売される製品の場合には、MADが7でも不正確とされる可能性があります。
MADが表示される事前定義済メジャーは次のとおりです。
最終記帳予測3か月MAD
最終出荷予測3か月MAD
表またはグラフでウォーターフォール分析を行い、現在使用しているプランの主要メジャーと、アーカイブされたバージョンのメジャーとを比較します。表またはグラフの作成時に、「比較オプション」タブで「ウォーターフォール分析の作成」チェック・ボックスを選択します。チェック・ボックスの選択後、「使用するメジャー・アーカイブ」を選択します。任意の数のアーカイブを選択できます。
「MAPE計算の使用」チェック・ボックスを選択して、サプライ・チェーン・プランニング・アプリケーションの管理者が作成したアーカイブを使用します。アーカイブには平均絶対誤差率の計算に必要なメジャーが含まれています。チェック・ボックスの選択が解除されると、プランナが作成したアーカイブが使用されます。
表またはグラフが自動的にウォーターフォールの形式で表示されるようにするには、「ウォーターフォール分析を自動的に表示」を選択します。ウォーターフォールの形式には、表またはグラフでアーカイブされたバージョンのメジャーが含まれています。チェック・ボックスの選択が解除されると、表またはグラフは、アーカイブされたバージョンなしで表示されます。その場合、ウォーターフォール分析の表示には、表またはグラフのツールバーに表示される「分析」アイコンが使用されます。
ウォーターフォール分析同様、トレンド分析も、表またはグラフの作成時に、「比較オプション」タブで構成します。トレンド分析では、過去にアーカイブされたメジャーについて、表またはグラフに含めるバージョンの数を指定できます。
たとえば、トレンド分析では、過去2週間で週に2回プランがアーカイブされていた場合、過去4回のアーカイブを選択して表示できます。ウォーターフォール分析の場合は、表示できるのは2回分のアーカイブのみです(1週間前のものと2週間前のもの)。
「比較オプション」タブで「トレンド分析を自動的に表示」チェック・ボックスの選択が解除されている場合は、表またはグラフのツールバーで「分析」アイコンをクリックしてから「トレンド分析」を選択します。トレンド分析の表またはグラフが、新しいタブで開きます。
ある需要プランを他の需要プランまたは同じプランのアーカイブと比較すること、およびメトリックを選択して両者の違いを表示することが可能です。
集計プラン・メトリックの比較: 2つのプランを比較し、集計レベルで違いを理解できます。たとえば、収益、リスクのある需要および例外件数のようなメトリックを比較することが可能です。表でプランを比較する場合には、各プランのデータが隣り合わせに表示されます。プラン間の差は、表の作成時または編集時に、「比較オプション」タブでメトリックを選択することで表示できます。表またはグラフのツールバーにある「差異の表示」アイコンを使用すると、差を示すために選択したメトリックで、表またはテーブルが再描画されます。
比較メトリックのオプションは次のとおりです。
差異
パーセント差異
絶対パーセント差異
プランの比較は、次のようにします。
ナビゲータで「需要管理」作業領域をクリックします。
「処理」メニューで、「比較」を選択し、「プラン」クリックします。
検索と選択: プランダイアログで、現在のプランと比較しようとするプランを検索し、選択してから「OK」をクリックします。
両方のプランを表示した状態で表を表示できます。
「差異の表示」をクリックして、現在のプランと比較対象のプランの差を表示します。
プランの比較を停止するには、「処理」メニューで「比較の取消」を選択します。
予測が生成されるデータ集計レベルは、定義できます。たとえば、品目および組織の詳細レベル、または製品カテゴリと顧客の集計レベルのように定義できます予測の構成とデータに基づいて、複数のレベルのうち1つで予測を生成できます。予測が生成される集計レベルを特定することが、予測結果を理解し、ビジネス上の意志決定を行う上で有効な場合があります。
予測が生成されるデータ集計レベルは、予測プロファイルで選択された「予測表」から求められます。この表での定義に従って、予測で使用される最初の集計レベルおよびそれに続く集計レベルが決まります。
事前定義済予測プロファイルの予測表として、次に示す事前定義済の表が使用されます。
予測出荷定義
予測記帳定義
組合せの予測が生成されるデータ集計レベルは、その予測プロファイル固有のメジャーに保存されます。1という値は、最初の集計レベルを表し、2という値はその上位にある次のレベルを表します。以下同様に続きます。
事前定義済メジャーを使用して、製品カテゴリごとの平均予測レベルを表示できます。予測レベルが上位にあるカテゴリほど、一般に最初の試行レベルにあることを示します。
外れ値は、需要履歴において、予測プロセスでは説明できない極端な需要を示すポイントです。予測エンジンによって、外れ値として検出される出荷および記帳のような受領履歴データが削除され、欠落しているデータが置換されて、予測エラーが最小化されます。そうした場合に、指定した予測方法によって、需要履歴を調整し、極端なデータ・ポイントを平滑化することができます。また、予測プロセスでは、平滑化されたポイントにマークが付けられます。
外れ値がどこで発生しているかを理解することは、予測分析に有効です。これは、様々なレポートやマークの付いた外れ値を参照して、表やグラフのレビューを行うことで実行できます。
プランの外れ値に関する詳細レポートには、履歴と平滑化された外れ値が表示されます。このレポートを利用して、次のことが容易に特定できます。
外れ値が存在する予測組合せの比率。
外れ値が検出され平滑化された組合せの数。
1つの組合せで検出された外れ値の平均個数。
外れ値の表示に使用できる事前定義済のレイアウトは、次のとおりです。
記帳予測外れ値分析
記帳予測外れ値詳細
出荷予測外れ値分析
出荷予測外れ値詳細
これに加えて、需要履歴を表示する任意の表またはグラフを対象として、外れ値を表示するメジャーの追加が可能です。予測の際に需要履歴がどのように修正されたかを知るのに、これが有効な場合があります。
予測がどのように生成されたかについてのインサイトを、予測分解で得ることができます。そこには、1つの予測が形成されるに至るまでの、様々な要素の詳細が含まれています。
予測分解には次の2つのタイプがあります。
予測方法分解
予想原因分解
個別の予測方法ごとに結果を確認するには、予測方法分解を使用します。
予測方法分解を有効にするには、プランの実行時に詳細セクションの「予測方法の詳細を含む」チェック・ボックスを選択します。プランの実行後、個別の方法による予測を隣り合わせにして、組合せ後の最終予測を表示できます。
これにより、目的に適う予測方法を決定し、適切でないと判断される予測方法を無効にすることが可能です。同じ画面で、各方法に割り当てられた重みを確認でき、組合せ後の予測がどのように生成されたかを理解できます。
特定の予測方法に対する個別の原因グループを確認するには、予想原因分解を使用します。1つの予測は、季節性、休日、価格のみならず、様々なファクタで構成されます。予想原因分解は、特定の予測方法による予測を、その予測全体が形成されるに至るまでのサブ要素に、実際に分解する機能です。
需要予測を要素に分解する方法は、分解グループと呼ばれる原因ファクタのグループ分けで決まります。
原因分解の情報を表示するには、プランの実行時に「原因ファクタの詳細を含む」チェック・ボックスを選択します。
予測分解の結果は、追加される2つのディメンションに保存されます。
需要予測方法: このディメンションには、使用される様々な予測方法が保存されます。異なる予測方法に関する表示をする場合には、このディメンションを含める必要があります。
分解グループ: 原因分解は、「需要予測方法」と「分解グループ」の両者を使用して保存されます。原因分解を表示する場合には、これらのディメンションを含めるようにしてください。